受講概要
プログラム
1.腐食・防食技術への取組み
1−1 実務で直面する腐食問題
1−2 金属の安定性とは(熱力学での自由エネルギーの大小)
2.元素とイオン化 (酸化して溶液中に溶け出すとは)
2−1 元素周期表とイオンの価数
2−2 化学溶解と腐食
2−3 腐食に関わる自由エネルギー変化(電位と電位差)
2−4 イオン化傾向
3.電気化学の基礎
3−1 電位-pH図
3−2 アノードとカソード(酸化還元電位との関係)
3−3 分極曲線と電位ーpH図
4.金属腐食の基礎
4−1 腐食の考え方(局部腐食と混成電位)
4−2 金属/溶液の界面反応と不働態化
4−3 加水分解
4−4 不働態皮膜破壊(Cl-,H+)
4−5 カソード反応の重要性
4−6 自然水の電位分布と酸素が関与する腐食
4−7 微生物が関与する腐食
4−8 材料側の課題(ステンレスの溶接部)
5.各種金属の腐食
5−1 鉄
5−2 ステンレス鋼
5−3 アルミニウム,チタン,銅
6.防食技術
6−1 耐食材料選定と防食
6−2 防食設計
6−3 環境制御
7.まとめ
質疑・応答
受講形式
会場・WEB
オンラインでご参加の方は、事前にこちらでZoomの接続環境をご確認ください。
スムーズな受講のため、カメラ・マイク・スピーカーの動作をご確認ください。
受講対象
金属材料の腐食が課題となる設備設計,機器設計に携わる設計者
工場の製造エンジニア,工場保守業務に携わってる方
顧客との技術的な会話が必要な技術営業職の方
研究職であっても腐食の知識を深めたいと考えておられる方
予備知識
腐食の基礎から説明しますので,腐食の専門的予備知識は必要ありません。
ただ、腐食の基本的理論を理解するには高校での化学や物理の知識があれば理解しやすいと考えます。
習得知識
1)腐食科学のベースとなる電気化学の知識
2)電位,pH,など腐食に関わる最も重要な因子の理解
3)腐食形態とその腐食理論
4)防食方法の考え方 など
講師の言葉
金属材料の腐食は、機器設計における構造設計,材料選定は言うに及ばず操業時の腐食トラブルに対する対応方針決定まで広範囲で非常に重要な課題となっています。しかし、これらに関わる腐食科学を理解するには材料の知識のみならず溶液化学の知識,さらには腐食過程そのものが電気的要素を含んでおりこれらの総合的な知識が必要となってきます。また、相互の関連性が複雑に見えることが腐食現象理解の妨げとなっているものと思われます。
本セミナーにおいては、金属の腐食科学を理解する上で最も重要な電気化学を基礎から平易に説明することによりその本質を学んでもらいたいと考えております。その上で,金属材料の耐食機構を明確にし腐食がなぜ起こるのかを金属材料の種類を問わず理解することを目指します。説明には鉄系金属(ステンレス鋼を含む)を主体に行いますが,後半ではアルミニウム,チタン,銅などの他金属との比較も行い得られた知識の拡大と理解の深化を目指します。また、防食技術についても会得した腐食理論と関連付けながら述べたい考えております。
腐食の一般的な教科書では記載されていないような基礎的なことから出発し腐食科学の本質に迫るセミナーです。個別材料の腐食課題の解決セミナーではありませんが、業務上金属材料の腐食問題を扱う必要のある方あるいはさらに深い知識を得て応用範囲を広げたいと考えておられる方には、基盤的な考えが身につく最適なセミナーとなると考えております。